連載・特集

2021.3.4みすず野

 もうすぐ「3・11」がやって来る。ことしで10年、過ぎ行く時間の早さに驚きを禁じ得ない。傍観者にしてみれば、ふつうに流れた歳月だが、遺族や当事者はどうなのだろう。癒えることのない悲しみ、立ち戻ることのできない闘いの中にまだいるのではないか◆未曽有の大震災であった。巨大津波が押し寄せ、港も街も何もかも飲み込んで、それが引き返すさまは、いまだ信じられない。加えて原発事故が起き、原発がいかに危険で、周辺の人々の土地や生活を奪ううえ、廃炉一つ取っても実に始末の悪いものかを知らされた。すごい災害だった◆政府はこれまで、37兆円を超える巨費を投じ、復興に力を入れてきた。阪神大震災の約6倍。その半分はインフラ整備に当て、道路や区画を整え、住宅を建て、まちづくりを進めた。東北はただでさえ人口減が激しい。それを見据えた投資、まちづくり、産業再興であったかどうか。今後の大きな課題と言える◆大震災から数年後、宮城・石巻に行ったが、沿岸沿いに建物らしいものは、ほとんどなく、一本の道路だけが開通していた。当地の水産加工業の回復度はいまだ鈍い、と聞いている。

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