連載・特集

2021.3.3みすず野

 古くて新しい問題、いや新しくて古い問題か。言い方はどちらでもいいけれど、放送事業会社「東北新社」の会食接待問題は、官僚と業界のなれ合い構造の一つの表面化、ということなのだろう。菅義偉首相の長男が勤める会社であり、問題発覚後、首相や関係者の国会答弁は二転三転した◆国会で虚偽答弁を繰り返し、結局うやむやになった森友問題にしても、政権トップ、あるいは政権に重用される官僚の倫理意識は一体どうなっているのか、ないのかと、声を大にして問いただしたい。だが、いまに始まった問題ではなく、政界、官界、業界の癒着は繰り返されてきた◆松本清張は、60年以上前の昭和30年代から小説、あるいはノンフィクションでそれらを描き続けた。社会派推理小説の出発点となった『点と線』は、鉄道トリックの面白さが際立つものだが、事件の本質は官業の癒着である。犠牲を強いられたのは中間管理職。巨悪は生き延びた◆今回の会食接待は費用などを見る限り、贈収賄に当たる可能性は低いと見られている。ただ、汚職というのは接待から始まる。徹底調査を望む。政権に与えたマイナスイメージは大きい。

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