連載・特集

2021.2.24みすず野

 元高校教諭で、近現代史が専門の鈴岡潤一さん(松本市)から著書『どこにもない場所の探し方』が贈られてきて、その題名を見た瞬間は、哲学書のような本かと思った。そうではなく、英国史を基盤にした人物史、日中戦争から戦後に至るまでの重要人物史であった◆鈴岡さんが現役時代から、長年研究してきた果実の一つであろう。本書の内容とは別に、一人の教養人の生き方として、鈴岡さんの地道な歩みはお手本になる。ふと頭に浮かんだのはノルウェーの科学者で探検家、ノーベル平和賞を受けたフリチョフ・ナンセンの言葉「人生においていちばん大切なことは、自分を発見すること」◆人は高校や大学などで学んだり遊んだりの時期が過ぎると、何らかの仕事に就いて自分や家族を養い、その歳月は長いが、いつの日か幕を下ろす。そのとき、真の自分と向き合う。これで良かったのか、この先何をして生きればいいのか。ナンセンではないが、人生は自分への旅、すなわち自己発見、と言っていいようである◆鈴岡さんは、そんな"旅"を続けながら、ライフワークを見いだし、市民に還元もしている。独自の視座を持って。

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