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松本波田道路 沿線農地 耕作放棄の懸念 分断で不整形に

松本波田道路の計画ルート沿線の農地。不整形残地の発生状況が見て取れる(波田、令和2年6月)

 松本市と福井市を結ぶ高規格幹線道路・中部縦貫自動車道のうち国が用地買収を進める松本市島立~波田の区間「松本波田道路」(延長5・3キロ)のルート沿線で遊休荒廃農地の増加が懸念されている。ほ場整備された農業地帯では道路が分断して田畑が不整形になり、狭いと耕作しにくくなるためだ。和田地区では農業の担い手減少にもつながりかねないとして対応を始めている。

 用地との境界線に打たれた木柵が並ぶ波田地区は、上空から見ると田畑の残地状況が分かる。長方形の区画を斜めに横切る場所は、大型農機が入れないような10アール未満の三角形の残地もある。耕作者が集落営農組織などの場合、生産性の低い残地はメリットが少なく地主に農地を返すことが想定される。地権者に営農の意思がなければ休耕、耕作放棄につながる可能性が高い。
 和田地区では、農地の貸し借りで耕作者と地主が異なるケースが多く、地元の調査では松本波田道路の事業対象農地142筆のうち少なくとも53筆(37%)に上る。農家は高齢化し、後継者のめどがついていない人も半数を超える。「和田堰で潤う昔からの水田地帯だが、後継者の問題に発展しかねない」と同地区農業再生協議会の田中住人会長(64)は懸念を強める。同協議会は地域全体の課題と捉え、農家以外の住民も交えた話し合いの場を設ける方針だ。
 事業主体の国交省長野国道事務所は取材に「必要のない土地まで買うわけにはいかない」とする。市は農業振興策として、残地を隣接農地とつなげる工事や農機の購入に充てる補助金の新設を検討しているが、地元の農業関係者は「補助金だけあってもやるかどうか」と首をかしげる。
 和田地区でも来年度には買収された用地で木柵の設置が始まる。臥雲義尚市長は市議会12月定例会一般質問で地元議員に対応を問われ「道路整備に関係する地域住民や農業団体などと一緒になって課題解決に取り組む」と述べている。