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2021.1.3みすず野

 雲が垂れ込め、周囲の山は見えない。諦めてアルプス公園を後にし、安曇野へ向かった。小雪の舞うなかを東の一角だけ切れた雲の縁が、燃えるような金色に輝く。山の端からあふれる光ではなかったが、これで今年も初日の出を拝んだことにした◆年越し寒波が日本海側に大雪を降らせている。当地はまず穏やかな年明けと言いたいところだが、全国で感染拡大に歯止めがかからない。医療や保健を担う人たちの奮闘と緊張が思われ、いつもの年ならすがすがしくて、のどかな元日の空の下でも気持ちがふさぐ◆禍福はあざなえる縄のごとし。少し体調を崩した年末の床の中で夏川草介さんの『新章神様のカルテ』(小学館)が琴線に触れた。近ごろ文庫になった。〈人が人を思いやる心は巡り巡って戻ってくる〉と。戻ってくる先はたとえ自分でなくても、支えてもらった人がきっと誰かを支える。そう信じよう◆穂高神社で交わす新年のあいさつは「一日も早い収束」の一言に尽きる。若い姉妹がおみくじを引いていた。今年の目標を尋ねると、来年に迫った国家試験への準備と就活。妹は高校合格。頑張れ。境内に笑い声がはじけた。

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