連載・特集

2021.1.24みすず野

 持つべきものは、姉妹都市だ。静岡県南伊豆町から塩尻市に届いた河津桜の切り枝の写真を紙面で見て、うれしくなった。一足早い春の便り。ソメイヨシノよりも大ぶりで、赤みがかった花に元気をもらう◆太平洋に突き出た岬の石廊崎がある町で、海と山の縁組は昭和53年に結ばれた。2月に花見ができる。川に沿って約800本という桜並木の彩りを町観光協会がホームページで紹介している。何年か前この季節に伊豆半島を訪ねた。早咲きの桜にほっこり。寒い信州へ帰りたくないと笑ったのを思い出す◆県独自の感染警戒レベル「5」が発出中の松本の街を歩いた。花屋で顔なじみの店員が「何しろこの人通りでは...」と肩を落とす。商売どう?の問い掛けに先んじて答えられてしまい、返す言葉が見つからない。人影まばらな通りへと視線を泳がせるしかなかった◆苦境を乗り切ろうと編み出した工夫や、さまざまな支援の取り組みが報じられる一方で、店主が窮状を訴える記事に「廃業」の文字も。つらい状況下で気付かされた小さな幸せを支えにしたい。「姉妹」の友情に励まされながら、ひたすら耐え忍ぶ大寒の列島である。