連載・特集

2021.1.22みすず野

 コロナ禍で直接的なつながりがいっそう薄まり、孤独感を強めている人が多いと言われる。人は一人では生きてゆけず、この社会があって生活しているのだが、突き詰めると一人で生まれ、一人で死ぬ。孤独なのである◆その孤独をとことん生き抜いた200年ほど昔の人に、良寛がいる。良寛は越後・出雲崎の名主の長男に生まれたものの、名主見習いが務まらず出家し、修行と放浪ののち、40歳を目前に故郷に乞食僧として舞い戻る。いまで言えば定年前に、何をしていたのかよくわからないが、一人帰って来たようなものだ。帰郷後、落ちぶれる生家を遠目に見ながら、山あいの草庵に暮らした◆畑を耕すでも説教するでもなく、托鉢で飢えをしのぎ、援護者も現れて多少の物資を受けながら、冬の寒さと降り積もる雪にじっと耐え、生きながらえた。寂しさ、わびしさ、苦しさを詩歌に詠み、頼まれれば書にしたためた。教養も資格もあったのに、清貧に甘んじた◆いまこんな状況下だからこそ、良寛のような人がいてくれたことに、励まされ、慕わしさを覚える。むろん良寛にはなれないけれど、心のよりどころには十分なり得る。