連載・特集

2021.1.18 みすず野

 栞は「枝折」とも書く。もとは山道で木の枝を折って道しるべにしたことに由来するという。この栞、読みかけの書物の間に挟んで目印にするもの。短冊形が一般的で、材料はいろいろある。厚紙、和紙、薄い板、布、皮革、合成樹脂も用いられている◆何年か前、松本中町の和紙専門店にふらりと入ったら、京都で作られた香りのする栞が売られていて、3枚組のものを買った。気に入った書物に挟んで使っている。本を開く度、いまだにかすかな甘い香りが漂う。栞は古くは「夾さん」と言い、竹を細かく裂き、元の部分を糸などで結んで、巻物や綴じ物の間に挟んだそうだ◆いつごろから現在の形になったのだろう。人から借りた本の中に、出来合いの栞でなく、和紙の栞、押し花の栞などが何げなく挟まっていると、ああ、この本を大切に読まれているのだな、栞にまで気持ちを通わせていたのかと想像され、慕わしくなる◆「何かがはじまる『一冊』との出合い」「頭が選ぶ本と、心が欲しがる本は、違う」。大手出版社の文庫本の長方形の栞に記されていた言葉。うまいキャッチコピーだと感心する。たかが栞の話ではある。