連載・特集

2021.1.12みすず野

 「鏡開き」とは、正月の年神に供えた鏡餅を下げて、雑煮や汁粉で食べることを指す。鏡餅は刃物を使わないで、槌などでたたき割るのだが、これを「開く」と表現する。切るという言葉を忌み嫌ってのこと◆1月11日をその日とした。新年の稽古始めとは直接つながりはないようだが、初稽古のあと、みんなで食べて祝うのを、鏡開きとしている。そんな理屈はともあれ、きのう鏡開きをおこなった柔剣道、空手などの道場もあったかもしれない。鏡開きが終わると、すぐ小正月である。年神を迎える大正月に対し、豊作祈願など農業に関する行事が中心◆昔はこの小正月までが、松の内だった。いま大正月、小正月という言い方をほとんどしない。だが、小正月にちなむ行事は、中信地方でも残っており、代表が火祭りの「三九郎」や繭玉作りだ。三九郎はかつて、男子のみの行事だったが、次第に女子が加わり、いまは大人も参加する◆写真集『ふるさと松本』(郷土出版社)を開くと、半世紀以上前の昭和40年ころの三九郎は、確かに男の子しか写っていない。こうした伝統行事が、コロナ禍を経て姿を消すことのないよう祈りたい。