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弘法山古墳 丁寧な築造跡 市教委の発掘調査進む

弘法山古墳の発掘調査で設けられたトレンチ

 松本市教育委員会が本年度、市東部(並柳2、神田2)の国史跡・弘法山古墳で進める発掘調査で、丁寧に突き固められた盛り土が確認された。トレンチ(溝)を掘って調べたところ、盛り土は固く締まった状態で、古墳は丘陵の上にあるにも関わらず労力を掛けて丁寧に造られていた。盛り土の中からは弥生土器の破片や黒曜石が見つかったことから、弥生時代の人々の集落跡から土を運び、築造された可能性がある。

12日に市勤労者福祉センターで弘法山古墳の講演会が開かれ、市文化財課の小山奈津実主事が調査報告の中で明らかにした。弘法山古墳は中山丘陵の北端にある東日本最古級の前方後方墳(全長約66メートル)で、3世紀末の築造と推定されている。本年度に始まった発掘では約50平方メートルを調べており、古墳後方部の北東と南東の2カ所のトレンチを設けた。
 古墳の端の部分では当初の地山を削って整形し、土を盛っていることも分かった。古墳後方部の中央から約17メートルの地点となることから、後方部の幅は約34メートルと予想できる。
 二つのトレンチでは10~20センチの石がまとまって確認された箇所があった。角ばった石だけでなく丸い石も含まれ、河川から持ち込まれた可能性が示唆される。石が出土した箇所は後世の溝や墳丘外に当たり、古墳を覆う石「葺石」など古墳に関わる石かどうかは現時点では不明だ。
 弘法山古墳は昭和49(1974)年に発掘が行われたが調査は石室など一部にとどまっていた。今回は弘法山古墳再整備事業として未解明だった墳丘の正確な規模や周辺にある遺構の確認などを目指す。来年度以降も発掘し、古墳の基本的なデータを集め、再整備に向けて準備を進める。講演会は市教委と県考古学会が共催した。