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豊科の松原弘己さん 奮闘する看護師を新聞紙で造形

作品と松原さん(右)

 安曇野市豊科南穂高の造形作家・松原弘己さん(53)が、新型コロナウイルスに関連する新聞記事の紙面だけを使い、新型コロナに立ち向かう女性看護師をイメージした造形作品を作った。作品全体に切り裂いたような傷を付け、新型コロナの危険性や感染者が社会的偏見で負う心の傷を表現している。安曇野赤十字病院(豊科)の1階ロビーで30日まで展示している。

 作品は高さ1・7メートルで、今年8月ころから2~3カ月かけて制作した。金網で形を作った後、ミキサーで細かくした新聞紙に木工用接着剤を混ぜた素材で成形し、表面に新型コロナ関連の記事の紙面を貼った。作品名「ferita(フェリータ)」は、イタリア語で傷を意味する。
 松原さんの妻が安曇野赤十字病院に勤務しており、新型コロナ対策で大変な思いをしている状況を目の当たりにしていたため、医療従事者をテーマにしたという。制作を始めたころは感染が落ち着いていたため、新型コロナに打ち勝つ「勝利のポーズ」をイメージしていた。再び感染拡大の局面に入ったことから、方向性を変えて傷を入れたという。
 松原さんは「感染して職場や住所が特定されて引っ越したという人もいる。最近は若い人の感染も多い。新型コロナは本当に危険だということを分かってほしい」と語る。
 作品の左手には政府配布の布マスク(アベノマスク)を持たせており、「誰も使っていない」という皮肉を込めた。作品の腰回りはあえて細くし、医療従事者は食事を取る暇もないほど忙しいという様子も表現した。
 作品は、新型コロナの感染防止対策で病院利用者だけが鑑賞できる。中野武院長は「地域全体で新型コロナに立ち向かっていることや、偏見がないことへの願いを感じてもらえたら」と語った。

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