連載・特集

2020.11.6みすず野

 創業者の古田晁(現在の塩尻市北小野出身)が急逝して5年、昭和53(1978)年に筑摩書房は事実上倒産した。再建の取り組みから10年前までを描いたノンフィクションに、『筑摩書房それからの四十年』(筑摩選書)があり、その懸命な歩みを知ることができる◆著者は著述家の永江朗さん。では、それ以前の筑摩書房はどうだったのか。昭和15(1940)年の創業の志と船出、戦中・戦後にかけての苦闘は、同社編集者を務めた和田芳恵が『筑摩書房の三十年』(筑摩選書)を残している。「最初の30年の主人公が古田だとすれば、その後の主人公は『再生』だ」と述べたのは、元社長の菊池明郎さん◆もう一人主人公がいて、言わずと知れた臼井吉見(現在の安曇野市堀金出身)である。古田と臼井は松本中学(現松本深志高)時代に出会い、親友となり、親譲りの財産があって何か事業を始めたい、と考えていた古田に、臼井が「出版をやれ」とけしかけたのが、そもそもの始まり◆80年たつ。塩尻市立図書館があさって、古田を知る講演会を開く。豪放な半面、極めて繊細だった古田の人柄と業績をたどるいい機会である。

連載・特集

もっと見る