連載・特集

2020.11.3みすず野

 「文化の日」に贈られる藍綬などの褒章があるが、この「綬」は勲章等をさげるのに用いる紐のこと。古代中国で官位によって色を異にしたのにちなみ、褒章も色によって種類がある。例えば藍綬褒章は公共の利益に寄与した人、黄綬は長い間業務に精励し、模範となり得る人に贈られる◆ごくふつうに生きてきた人には、褒章、勲章はまず縁がない。ふつうに生きると言っても、それぞれ山あり谷あり、不慮の事故や災難に遭うこともあって、そうたやすくはなく、これからはふつうに生きるのが、ふつうでなくなる、より困難な時代が訪れる予感もする。コロナ禍はその入り口かもしれない◆私たちの生活は、昭和の時代に比べると実に便利で、快適になった。にもかかわらず「ゆとり」を感じられず、幸福感が薄い。それはなぜなのか、考えてみる必要がある。同じ仕事をするにももっと短時間で、生産性を上げることはできないか、テレワークは可能か、生み出された仕事以外の時間を大事にしているか◆少ない収入でも、心豊かに暮らす術を見いだし、誰に褒められなくても、自分をたまに褒めてやればいいのではあるまいか。

連載・特集

もっと見る