連載・特集

2020.11.26 みすず野

 60~74歳を、それまでの組織の責任から解放され、家族の扶養義務も終わって、多くの時間が自分のために費やせる人生のラストチャンス「黄金の15年」である、と説いたのは、元生命保険会社社員で、ライフ&キャリア研修所代表の楠木新さん◆3年前に著した『定年後』(中公新書)がベストセラーになった。なぜ74歳までかというと、男性の平均健康寿命が大体その辺りだからである。60過ぎると、自分にとって何が一番大切で、どう生きるべきかがはっきりしてくる。一方で、老後の見通しもわかり、貯蓄や年金との絡みで、何歳まで働かねばならないかも判明する◆60歳で勤めを切り上げられる人は、周りを見ても少数、65歳までが多い。近い将来、これが70歳になる可能性が高い。超高齢社会の到来で、年金支給開始年齢の引き上げ、少額化が避けられないからだ。加えて給与や退職金が減る傾向にある◆政府は「生涯現役」という言葉を用い、高齢者に死ぬまで働いてもらおう、と目論んでいる。「黄金の15年」は「10年」に縮まり、壮年以下の世代は限りなくゼロに近い。であれば細く長く、働き方を変えようと思うだろう。