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2020.11.13みすず野

 発酵食品は、三つの大きな魔法の力を持っている。一つは腐りにくさ、二つめは栄養価が高まる、三つめは味と匂いの良さである、と指摘するのは発酵学が専門の東京農大名誉教授・小泉武夫さんだ◆そのうえで、澄んだ空気と日照時間の長さなどから、おいしい農産物が育つ条件がそろっているのが信州。豆、漬物、粉食の食文化が素晴らしく、信州の食文化の特徴は、「保存食だといっても過言ではない」と述べている(『信州の発酵食』しなのき書房)。私たちはそのことに気づき、誇りとして伝統食文化を守り、後世に伝えたい◆白菜漬け、大根のたくあん漬け、野沢菜漬けに代表される冬の漬物の季節がやって来た。かつてはおばあちゃんから嫁に、家々で独自の方法が伝授されたものだが、いまはほとんど廃れた。ならば「漬物名人」の技を、地元で受け継ぎ、次世代にバトンを渡したい。その点、木曽のすんき漬けは、加工施設を拠点に次世代につなげていると聞く◆すんき漬けを毎年届けてくださる方がおり、一度味に慣れるとおいしいと思う。漬物は白米によく合い、コメの消費拡大にもつながればなおいいのでは。

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