連載・特集

2020.10.24 みすず野

 「喉元過ぎれば熱さ忘れる」のことわざがあるが、日本人はこの傾向が強い民族かもしれない。福島の原発事故後、遠く離れたドイツがいち早く「脱原発」を決め、再生可能エネルギー社会への転換を図ろうとしたのに対し、当事国たる日本は安倍政権下、そうしなかった◆原子力規制委が「安全」と認めた原発は、動かす方針を取った。一番は電力会社の事情を考慮したのだ。経産省の試算では、すべての原発を廃炉にすると、業界全体で4・4兆円の損失が生じ、4社が債務超過に陥るという。福島原発の廃炉には8兆円かかるとされ、賠償費などを含めると22兆円に達する◆卒倒しそうな額だ。誰が負担するのか。多くは国民が40年間、電気代を通して支払う。かわいそうなのは若者たち、子どもたち、これから生まれる未来の世代。事故とは無縁なのにである。原発は動かさなくても全体で、年間1兆円の経費がかかるとも言われる。だめならだめ、と早く結論を出すべきではないか◆私たちは脱原発・反原発にもっと声を上げ続けたい。原発がなくても産業、生活が成り立つ社会を作りたい。きょうの「原子力の日」にちなんで。