連載・特集

2020.10.22みすず野

 政治は夜つくられる、と言われるが、ならば昼つくられるのは何か。文化なのかもしれない。音楽の都ウィーンは、カフェハウスがその役割を果たしたそうだ。芸術文化を志す人たちが、昼間からカフェに集まり、わずかな費用でいつまでも居ることが許された◆そこで思索したり、議論したり、文化を形づくっていった。ウィーンに初めてカフェが店開きしたのは、何と1685年。19世紀末には600近くを数え、現在も歴史を誇るカフェがあちこちにあるという。日本初のカフェは、明治44(1911)年に画家の松山省三が、パリのカフェを模して、友人たちと東京・銀座に開業したのが始まりらしい◆日本はカフェよりも縁側だった。かつての民家には縁側が設けられ、そこは内とも外とも言えない空間であって、隣近所の人が集まり、茶飲み話をした。芸術談議ではなかったろうが、独特の縁側文化が醸成されたのは確かだ◆松本市街地の「街場のえんがわ作戦」に、広がりが出てきたとの報道に接した。店先の歩道の占用許可基準を緩和して、テラス席を設けている。街中が活気づけば、そこから創造的なものは生まれる。