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塩尻・奈良井宿の旧中村家住宅国重文へ

  国の文化審議会は16日、塩尻市の奈良井宿にある市指定有形文化財「旧中村家住宅」を国重要文化財(建造物)に指定するよう、萩生田光一文部科学相に答申した。かつて県外への移築が予定されたが、地元要望を受けて現地保存された経緯があり、奈良井宿の町並み保存の原点になった建物であることも評価点となった。今後、官報告示を経て正式指定される。

 旧中村家住宅は天保14(1843)年ころの建築で、主屋(木造2階建て延べ165平方メートル)と土蔵(2階建て同43平方メートル)で構成される。コヤネと呼ばれる板庇を使った表構えなど、地元特有の建築形態を伝える。漆を塗った飾り櫛「塗り櫛」の創業者とされる中村恵吉の次男・利兵衛が建てたとされ、主屋や土蔵の床板には漆の痕跡が残る。くし製造問屋を営みながら、大名行列などの際には旅籠となった当時の様子が分かる資料になっている。
 昭和40年代半ばに川崎市の日本民家園へ移築が予定されたが、旧楢川村が中村家から敷地建物の寄贈を受けた。現在は塩尻市の資料館として一般公開している。
 市内の国重要文化財指定は平成21(2009)年に小野家住宅(塩尻町)の付属の建物が追加指定されて以来で、市内の指定数は今回で7件・14棟となる。奈良井宿の建物の指定は、同19年の手塚家住宅以来。赤羽高志教育長は指定答申を喜び「末永く継承していきたい」と話した。