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県内初の民俗学会奨励賞 松本の市東真一さん

 神奈川大学日本常民文化研究所の特別研究員・市東真一さん(28)=松本市城東1=が執筆した、埼玉県熊谷市の夏祭り「熊谷うちわ祭」に関する研究論文がこのほど、日本民俗学会(鈴木岩弓会長)の「研究奨励賞」を受賞した。全国の若手研究者(35歳未満)の優れた研究に贈られる、今年で40回を数える賞で、県内研究者の受賞は初めてとなる。

 受賞作の論文は、昨年2月に学会誌「日本民俗学」に掲載された「祭礼における旦那衆の権威の創造」になる。うちわ祭を資金面で支え指揮する祭礼の主役「旦那衆」に注目し、かつて名声や資金力を背景に地域の名士が仕切った権威ある立場が人口減少などで衰退し、スポンサー制へ変化しているなど、祭礼の変遷を分析した。
 市東さんは松本市中心街の老舗居酒屋の長男で、信州大学付属松本中学校、松商学園高校を卒業し、短大から国学院大文学部に編入した。神奈川大大学院生だった平成27(2015)年から昨年まで熊谷市に年30~40回ほど通い詰めて調査・研究しまとめた論文群の一つになる。
 元日本民俗学会理事で元跡見学園女子大学(東京都)教授の倉石あつ子さん(75)=安曇野市穂高有明=は研究奨励賞について「『該当者なし』の年もある厳しい賞で、後に大成した受賞者も多い」とし「長野県に生まれ育った生粋の県民初の快挙。賞の意義をかみしめ研究者として大きく羽ばたいてほしい」とエールを送る。
 都内で11日に開かれた受賞式に臨んだ市東さんは「受賞の通知に手が震えた。これほど早くに頂けるとは」と感謝し、「人の動きの実態や事象を、目で見て耳で聞き心で感じて調べる面白さが民俗学にはある。自分の生まれ育った松本地域を拠点に研究者の道を歩みたい」と意欲を語った。