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自然博物館の移転先どこに 昆虫標本など多数所蔵

小坂田公園の再整備計画で移転先が検討されている自然博物館
 塩尻市が本年度に着手した国道19号沿いの都市公園・小坂田公園(塩尻町)の再整備事業に伴い、園内にある市立自然博物館の機能をどこに移転するかが課題になっている。現在の建物は子供向けの室内アスレチック施設に転換する計画で、所蔵展示している自然科学資料の行き先が決まっていない。市教育委員会は、次期実施計画(令和3~5年度)に今後の整備方針を盛り込む考えで検討している。
 寄贈されたり、職員が収集したりしたチョウやその他の昆虫など計約7000種・5万数千匹が、約1500個の標本箱に収められている。ワシントン条約で移動などが禁止された学術的に貴重な4種類8匹のチョウの標本もあり、適切な温度や湿度で管理している。  大門の故・白木秀明さんが収集し、平成4(1992)年に市が購入・継承した標本を所蔵展示する施設として7年10月1日、「蝶の博物館」として開館し、17年に現施設名に改称した。鉄筋コンクリート造で地上1階・地下1階延べ約270平方メートルの規模がある。  郷土の豊かな自然と生物多様性を伝える展示や記録保存活動を続ける。ただ、年間来場者数は開館当初の1万4069人に比べ、近年は約9000人にとどまる。人件費を含む維持費は年間900万円だ。  市は市議会に、既存施設への移転、新築、他施設と統合の選択肢があることを示している。令和6年度にも機能を移転させる方向で、市の総合教育会議や自然博物館協力会で意見を集めている。耐震強度不足と診断されている平出遺跡考古博物館(昭和29年建設)を含む市全体の博物館の在り方を検討する必要性も指摘される。  再整備後の公園について小口利幸市長は、家族で楽しむことができ、市民が存在意義を実感できる地域活性拠点とする構想を示す。9月の定例記者会見で自然博物館について「特殊な施設であることは間違いない」と述べた。平成9年~24年に館長を務めた理学博士・小林比佐雄さん(84)=宗賀床尾=は「今までの経緯を踏まえ、皆が来やすく見やすく学びやすい場所に」と願っている。