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玄向寺裏山に石切場の遺構発見 城下町作りの材料供給地か

女鳥羽の滝近くの山中で見つかった石切場跡とみられる遺構

 松本市大村の玄向寺裏山にある山岳信仰の霊場(修行場)だった女鳥羽の滝の近くで2日までに、石切場とみられる古い遺構が見つかった。市内の主な石材産地は入山辺や岡田伊深などが古くから知られているが、松本の城下町形成・発展に必要な大量の石材が近隣各所の大小さまざまな石切場から供給されていた可能性を考える上で貴重な遺構になりそうだ。

 遺構は、女鳥羽の滝最上部の「一の滝」から急斜面を約50メートルほど登った、岩がむき出しの平場にある。一部の岩には、石を割るために打ち込むくさび用の「矢穴」(縦約3センチ、横約6センチ、深さ4~7センチ)が3センチ程の間隔で横一線に約1・2メートルにわたって規則正しくうがたれている。専門技術を持った職人が石材を切り出す作業に当たった跡のようだ。
 民俗を研究している神奈川大学日本常民文化研究所特別研究員・市東真一さん(28)=松本市城東1=がこのほど、山岳信仰の霊神碑を探し歩く中で発見した。連絡を受けた後藤芳孝・元松本城管理事務所研究専門員ら5人が2日、現地を訪れ遺構を確認した。
 県民俗の会の一員としてかつて一帯を調査したことがある市立博物館の木下守館長は石切場について「存在を把握していない」と話す。
 市文化財課によると、一般的に戦国末期の矢穴は縦9センチ、横12センチと大きいが、江戸時代になると次第に小さくなるといい、竹内靖長課長補佐は「ここの矢穴は小さく、幕末など比較的新しい技法かも」と推察した上で「武家屋敷や水路など城下町には非常に多くの石積みが必要になる。石材供給地が周辺の山々にもあったと仮定すれば興味深い発見」と話す。
 市東さんは、女鳥羽の滝の霊場での山岳信仰が幕末から近代にかけて盛んだった経緯を踏まえ「霊場と石切場には何か関係があるかもしれない。今後、関連性も調べたい」と話していた。