連載・特集

2020.10.6 みすず野

 「葬儀は家族葬」「近親者のみで営む」「営んだ」...。本紙の毎日のおくやみ記事を読むと、ほとんど葬儀は家族・親族葬である。故人が生前、かなりの名声や地位を得たり、社会的活動をしたりした人でもそう。コロナの感染拡大が葬儀の簡略化を一気に進めた◆葬儀、戒名にお金がかかり過ぎて負担しきれない。高齢者の大往生が増え、現役引退後25年、30年を経ると、会葬者は限られる。村落共同体や「家」が崩壊、独身者も増えて、家より個人葬の意味が強まった。格式・世間体を気にしなくてよくなった、などの理由から葬儀の簡略化の波は、地方にも押し寄せていた◆その究極は直葬、遺体を直接火葬場に運び、そこで近親者だけで見送り、終わりにするやり方。もともとは身元がはっきりしない人や生活困窮者のためのものだったが、現在は結構あるそうで、聞いても驚かなくなった。こうした葬儀の変容が、コロナ後に元に戻ってゆくとは考えられない◆当然、業者も変わらざるを得ず、家族葬への専業化、家族葬のための建物の改修、仕組みの変更などを進めているという。この先に当然、墓の無縁化、墓じまいもある。