連載・特集

2020.10.5みすず野

 俳人・小林一茶のふるさととして知られる、北信濃の信濃町にある黒姫童話館を訪ねたのは、2年前の秋。塩尻の童話作家のはまみつをさん(故人)を介した縁で、童話館の北沢彰利館長に招かれたのだ。信州ゆかりの童話作家たちの作品を集めた文学館と思い込んでいた◆そうでもあるが、『モモ』で著名なドイツ人作家のミヒャエル・エンデの作品を、世界で唯一展示しており、しかも本人寄贈の2000点を超える資料を収蔵しているという。童話、絵本、民話のまさに"殿堂"で、館内は大変なにぎわいだった。中信地域の人には案外縁が薄いかもしれない。北信五岳の一つ黒姫山の裾野に建てられ、一帯はコスモスが咲き誇っていた◆コスモスはメキシコ辺りの原産で、古くから日本にあった花ではない。いまから150年ほど前の明治初期に渡来し、末期には全国的に栽培されるようになったようだ。「秋桜」の異名があり、山口百恵さんが歌った「秋桜」の名曲が口をつく◆黒姫高原のコスモスは半世紀前に植栽が始まったという。高原でなくても庭先や道端に群れ咲き、涼風に揺れる風情に癒やされる人は多いにちがいない。