連載・特集

2020.10.28みすず野

 最後は地域、家庭に戻るとして何歳まで働くのか、それぞれが決める時代になった。その判断基準は、公的年金の受給開始年齢を見据え、不足分を補うという「生活のため」であって、「生きがい」とか「社会と関わっていたいため」はごく少数◆独立行政法人労働政策研究・研修機構の60代の雇用・生活調査(昨年6月)では、60代で収入を伴う仕事をしている人はほぼ6割。60代前半、後半にかかわらず、今後仕事を希望する人は半数以上、働けるうちは働きたい人も3割を超える。「70歳現役社会」が、政府の方針に沿う(社会保障費を抑制する)かたちで、実現に向かっているように見える◆だが、そうたやすくはない。企業が65歳定年にした場合、高年雇用者の人件費(退職金を含む)が大幅に増える。当然40代からの選別、50歳くらいからの給与抑制が考えられ、教育費などが最もかかる50代は厳しい。コロナ禍もあって、企業が早期希望退職者を募る傾向が強まっているのも見逃せない◆働く側は60代に至ると、何割かは健康不安を抱え、親の介護も重なり、仕事の質量が落ちる。老後生活設計は早めに、と言われるゆえんだ。