連載・特集

2020.10.16みすず野

 民芸運動創始者の柳宗悦は、無名の職人の手による生活雑器が、なぜ美しいかを問い続けた。日本各地に伝わる手仕事を紹介し、その仕事がいかに素晴らしいか、大切なものかを訴え、紹介したのが『手仕事の日本』(岩波文庫)だ◆「名を記す必要のない品物の値打ちを、もっと認めねばなりません。自分の名を誇らないような気持で仕事をする人たちのことを、もっと讃えねばなりません」「一国の文化はその国民の日々の生活に最もよく反映されます。生活を深いものにするために、どうしてもそれは美しさと結ばれねばなりません」◆松本と民芸の関わりは、昭和20(1945)年5月、市内で開かれた柳の「地方文化と工芸」の講演に始まる。話に感動した三代澤本寿、丸山太郎、池上喜作らが日本民芸協会長野県支部を結成し、活動を展開していった。職人たちは励まされたにちがいない。いますっかり定着した「工芸の五月」は、この流れをくむものだろう◆ことしはコロナ禍で中止されたが、来年につなげたいと、秋版が明日から始まる。オンラインの試みを交え、工芸の魅力を伝える。主催者らの意気込みを感じ取りたい。