連載・特集

2020.10.11みすず野

 横尾谷から木材を歩荷で上げ、北穂の頂に約10坪の小屋が完成したのは昭和23(1948)年10月20日という。安曇野山岳美術館で企画展「北穂高小屋を建てた男」小山義治さんの油彩画展(~11月25日)を見た◆切り立った荒々しい岩壁に足がすくみ、明るい色彩で描かれた初秋の北穂と屏風岩に心が伸びる。小山さんが平成19年に亡くなった後はまとめて展示する機会がなかったといい、他の著名画家の山の絵とも相和して壮観だ。再びあの山頂に立つのは年齢と体力からして難しいかもと思えば余計に憧れが募った◆一般に今年は「密」を避けようと、登山を見送った人も多かっただろう。せめて絵で山の空気をいっぱい吸ってもらえたらと思う。山の絵といえば、豊科近代美術館には等々力巳吉の大作《鹿島槍ケ岳》が飾られ、空の青と雪渓の白が印象に残る。こちらは地元ゆかりの作家10人の「まなざし」に焦点を絞った収蔵品展(~11月29日)◆理解できたかは心もとないが、中でも高山晃さんの《鳩と少女》と小川大系の《初夏の漁》が良かった。胸に落ちる作品は人それぞれ。安曇野の秋、美術館やギャラリー巡りはいかが。