政治・経済

松本の中山間農地 転用を模索 地区計画活用に市長前向き

 松本市内の中山間地域における市街化調整区域の土地利用の幅が広がる可能性が出てきた。人口減少や農地の荒廃で将来衰退が危惧される該当地域に対して、臥雲義尚市長が地区計画制度を活用した「農地の他用途への転用」に前向きな姿勢を示したためだ。ただ、市はこれまで都市機能を集約するコンパクトシティーを目指してきた経緯があり、郊外の新規開発には十分な配慮を求める声がある。

 「地区計画制度の運用に慎重だった市の方針を転換する」
 開会中の市議会9月定例会で、吉村幸代氏(開明)から中山間地の課題を問われた臥雲市長はそう明言した。
 地区計画は昭和55(1980)年の都市計画法改正に伴い創設された制度で、住民参加の下、地域の実情に応じた整備や開発、保全といった街づくりを進める。平成4(1992)年には計画策定の対象地域に市街化調整区域が追加された。
 一方、市はこれまで中山間地の市街化調整区域に地区計画を運用してこなかった。都市計画法34条11号を適用した既存集落の維持と農地の保全を優先し、市街化の拡散を抑制してきた経緯がある。
 しかし「少子化や高齢化で荒廃農地が増えるなどする中、より柔軟な対応も視野に入れる必要が出てきた」(都市政策課)。市は現在、同様の課題を抱える中山地区をモデルに地区計画策定を選択肢に入れた住民との意見交換を重ねている。策定が実現し都市計画決定されれば、中山間地の市街化調整区域としては市内で初めて同制度の適用となり、新規の宅地開発など実質的な規制緩和が進む可能性がある。
 一方、ある市職員OBは「集約型の都市構造が崩れ人口の奪い合いにもなりかねない」と懸念する。臥雲市長は「大規模なインフラ整備や住宅の拡散につながらないよう十分留意する」とも述べた。