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89歳が孫と化粧品店経営 横山月子さん 美の相談に対応

 松本市大手2の女鳥羽川沿いにピンクの看板が目を引く小さな化粧品店「ぬの源」がある。創業97年の老舗で、店主の横山月子さん(89)が卒寿(90歳)目前とは思えない若々しさで来店者を迎える。店を継ぐため8月に帰郷した孫の松井綾音さん(31)と共に「美しくなりたい」と願う女性たちの相談に二人三脚で応じている。

 40平方メートルの店内に化粧品やケア用品が所狭しと並ぶ。入れ替わり立ち替わりに働く女性や子連れの母親、99歳の老婦人―とさまざまな人が訪れる。
 月子さんは松本市出身。料亭を営む父に幼少期から礼儀作法を仕込まれ、内面と外見双方の美しさを人一倍意識して育った。夫の実家が営むぬの源に勤め始めた24歳の頃、当時創業したばかりの高級化粧品メーカー・アルビオンに出会った。商品や理念に感銘を受け、店で扱うとともに営業にも奔走してきた。
 綾音さんは音楽講師の母の影響もあり、上京して音大へ進学した。卒業後も首都圏で働いていたが、帰郷を望む家族の声と幼いころから見てきた祖母の姿に心を動かされ、夫婦で松本への移住を決めた。移住前の5年間はアルビオンに勤め、祖母が大切にしてきた商品や接客の技術を現場で学んだ。大勢の常連客に慕われる祖母の姿にプレッシャーを感じつつも「良いところを受け継ぎながら新しいお客様の輪も広げていきたい」と力を込める。最近はインスタグラム(@nunogen_since1923)でも情報発信を始めた。
 月子さんは毎朝4時に起床し、仕事がない日も化粧は絶対に怠らない。店に立つ時も必ずそばに鏡を置いて、こまめに自分の居住まいを確認する。「倒れる時は店でと決めている。生涯美しくありたい」とほほ笑む。