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ヤチゼニゴケ大町で発見 松川の吉富政宣さん

 植物などを研究している松川村緑町中の吉富政宣さん(51)が、国内で2カ所しか生育が確認されていない希少なコケ「ヤチゼニゴケ」を大町市内で発見した。5日にオンラインで開かれる日本蘚苔類学会で発表する。松本市や池田町などからも約40件の情報が寄せられており、吉富さんはさらに研究を進めていく考えだ。

 7月に友人らと大町市内の水路で見つけた。一部を採取して同学会の会長を務める広島大学の嶋村正樹准教授(植物分類・生態学)に送って鑑定してもらったところ、ヤチゼニゴケだと判明した。
 嶋村准教授は、ヤチゼニゴケが寒冷地を好むことから「冷たい湧水が流れる環境が生育に適していたのかもしれない」と話す。県内には氷河期に入ってきて、そのまま取り残されたように分布する希少な生物が多くいるとし「ヤチゼニゴケも気候の変動と、それに伴う生物分布の移り変わりを示す貴重な証拠」と説明する。
 吉富さんは寄せられた情報に基づいて、松本市の中山地区や四賀地区、池田町、塩尻市木曽平沢などで調査をした。個体が絶滅しない程度に一定数ないと採取は難しいとして、慎重に研究を進める考えだ。乱獲やU字溝の清掃で根絶する可能性もあるといい「大切な宝。身近な自然に目を向けて、大事に見守ってほしい」と願っている。