連載・特集

2020.9.29 みすず野

 「昭和歌謡」を代表する作詞家の阿久悠が、昭和61(1986)年に書き、河島英五が歌ってヒットした曲に「時代おくれ」がある。「目立たぬように はしゃがぬように/似合わぬことは 無理をせず/人の心を見つめつづける/時代おくれの男になりたい―」◆新しいが勝ち、金持ちが勝ち、強い者が勝ちという平成バブルに向かう時代に、あえて「時代おくれの男になりたい」としみじみ歌い、次第に受け入れられ、それでいいじゃないか、と共感を得ていった。阿久は「どこかで、誰かが歌っていてくれたのである。芽が出ると大きくなり、大輪の花こそ咲かせなかったが、枯れない木になった」と振り返っている(『歌謡曲の時代』新潮文庫)◆カラオケで定番にする中高年男性、結構いるのでは。時代遅れで何が悪いと開き直れ、そのほうが格好よかったのだ。現在はどうだろう。コロナ禍を経て、菅義偉首相の号令でデジタル庁を創設し、世界のデジタル化の進展に追いつこうと躍起のいま、時代遅れでいい、と言っていられるか◆デジタル関係ない。スマホ持っていないでは、格好つかなくなってきた。中高年大変である。