連載・特集

2020.9.28 みすず野

 いわゆる終活を始めた。物だけでなく煩わしい人間関係も捨ててしまう「断捨離」ではなく、これからの暮らしに不要な物を、少しずつ整理するというもの。その一つが本。部屋の書棚に収まり切らず、床に山積みされ、ほこりをかぶっていた◆これまでに5回ほど古書店(チェーン店)に持ち込んだ。引き取り額は二束三文で、コーヒー一杯分にもならない回もあった。それでも床が広々してくると、これでいいと思えた。簡素な空間の極地と言えば茶室。あそこまで家の中を片付けたいとは思わないし、土台無理だが、整理することで身心が軽くなるのは確かである◆そうすると、雨の日は雨の音を聴くではないが、外側(身近な自然)に心が開かれ、五感が働き出すような気がしてくる。不思議なことだ。コロナ禍で心が沈み、鬱に陥る人もいると伺う。身の回りの物を整理してみてはいかがだろう。そして窓を開け放ち、涼しい風を受け、自然に心を寄せると、焦りや不安は消え、このままでよいと感じられるのでは◆水音が聞こえたらしめたもの。水音は人をリラックスさせ、疲れを忘れさせてくれる。自然界との小さなつながり。