連載・特集

2020.9.24みすず野

 久しぶりに美術展を堪能できたと思った。朝日村の朝日美術館で開かれている県信濃美術館交流名品展。村出身の彫刻家に上條俊介がおり、上條の作品(野外彫刻)は、松本市内だけで17カ所設置されているが、この交流名品展は上條の生誕120周年記念、「上條俊介とその時代」と銘打ったものでもある◆彼の代表作はやはり「播隆上人像」だ。松本駅前で眺めたことがある人は多いにちがいない。上條の彫刻家人生は学生時代、北村西望を訪ねたことに始まる。足繁くアトリエに通い、教えを請うた。西望と言えば、長崎平和公園の「平和祈念像」で有名◆槍ケ岳山頂に立つ姿である「播隆上人像」と、「平和祈念像」には、どちらも毅然とした力強さがある。もう一つ共通するのは、石膏直付けという方法。彫塑は粘土で制作するのがふつうだが、骨格の構造体に石膏を直接付けるやり方という◆会場では「播隆上人像」の写真と、兄弟弟子の小川大系が制作した「中田又重郎像」の写真を合成した展示も見られる。上條は播隆を槍ケ岳に案内した又重郎像も自ら制作し、2人像にする構想を持っていた。ほほ笑ましい合成写真だ。