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母校野球部で頑張る息子に声援 松商センバツ準V二村武さん、辻利行さん

 2020年度夏季高校野球県大会は5日、長野五輪スタジアム(長野市)で準々決勝が始まった。観戦できる保護者の枠が50人に拡大され、甲子園につながらない大会ながら応援席は熱気に包まれた。中信代表の松商スタンドも、県の頂点を目指す懸命な姿を、制約がある中で精いっぱい後押しした。

 時をさかのぼること29年。平成3(1991)年は、選抜大会準優勝の実績を掲げて長野大会を沸かせた松商が、夏の主役だった。そのチームで主力として活躍した2人が、実力校がぶつかる好カードとなった準々決勝第1試合に、スタンドから熱いまなざしを注いだ。
 視線の主は保護者会長の二村武さん(46)=松本市浅間温泉1=と、辻利行さん(46)=長野市青木島。3年生の息子同士が同期入学で、共に父に憧れて野球部の門をたたいた。
 「比較されるだろうし、プレッシャーも背負う」。口をそろえたように、2人とも、野球に親しむ息子に松商進学を勧めたことはなかった。それでも、自らと同じ道を歩んだことがうれしかったという。そこから、2人にとってOBとして関心を寄せていた高校野球が、息子を通して再びより身近なものになり、甲子園を目指す過程を楽しんできた。
 迎えた最後の夏。この試合を含む全4試合で、二村兼登選手が3番、辻大輝選手が4番と並び中軸を担った。「打順も続き、思い出になる」と、二村さんは巡り合わせの妙を素直に喜ぶ。
 1点を争う準々決勝は、サヨナラでの幕切れとなった。涙をのんだものの、実力は1枚も2枚も上手と認める相手に対し、対等に渡り合った。コロナ禍で練習もままならず、甲子園出場の夢もついえた難しい時間を乗り越えたわが子らの堂々とした姿は「本当に成長した」(辻さん)。短い言葉ながら、親としての実感がにじむ。
 息子と共に歩んだ3年間は、目標に掲げた県王座にたどり着くことなく終わった。それでも、辻さんは「勝負事なので結果は仕方ない。よく頑張ったと言ってあげたい」と振り返った。二村さんは「当時と同じとまではいかなくても、近い雰囲気を味わってほしかった」としつつ、「貴重な時間を過ごせた」と結んだ。

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