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被爆アオギリ二世消失 広島→あがたの森に移植

 平和を愛し、命を大切にする心を後世に継承する象徴として、松本市が広島市から譲り受けて平成30(2018)年にあがたの森公園平和ひろばに植えた樹木「被爆アオギリ二世」の1本が失われていたことが、5日分かった。市に公的記録がなく失われた経過が不明で、枯死したのか盗まれたのかも分かっていない。広島市に原子爆弾が投下されてから6日で75年の節目を迎え、説明板だけがむなしく残っている。

 平和ひろばにはもともと、平成18年8月と26年11月に植えられた被爆アオギリ二世があり、この2本は無事に生長している。今回失われていることが分かった被爆アオギリ二世は3本目に当たり、存在自体がほとんど知られていなかった。
 松本市平和推進課によると、市平和都市宣言から30周年の節目を記念して28年、被爆地の長崎市からクスノキを譲り受けて平和ひろばに植えたがうまく冬越しできず、29年から関係者が預かって養生している。市はクスノキの代替として被爆アオギリ二世を広島市から譲り受け、存在を公にすることなく同じ場所に植えていた。
 市が市民タイムスの指摘を受けて調べたところ、職員の記憶で今年2月ころまでは植わっていたという。平和推進課は「管理を怠っていたことを反省している。広島市に事のいきさつを早急に報告したい」とする。
 広島市によると、被爆アオギリ二世は爆心地から約1・3キロの地点で被爆したアオギリの「子供」で、種から育成した苗木を市が地方自治体や学校などに配布している。被爆アオギリは、爆心地側の幹半分が熱線と爆風で焼けてえぐられたが焦土の中で芽吹き、人々に生きる勇気を与えたという。樹皮が傷跡を包むようにして生長を続け、昭和48(1973)年に市平和記念公園に移植された。
 広島市による苗木の配布は平成4年度に始まり、昨年度末までに各地に1万1902本が配られている。