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松本の伝統行事「ぼんぼん・青山さま」が各地で中止 文化継承に心配の声も

大日堂に納められたままの青山さまのみこし(沢村町会)

 松本市内で夏に行われる子供の伝統行事「ぼんぼん・青山さま」(市重要無形民俗文化財)が、新型コロナウイルスの影響で今年は各地で中止を余儀なくされている。準備や練り歩きの際に感染拡大の恐れがあるためだ。少子化などで行事が年々縮小される中、地域の関係者らは子供たちが受け継いできた松本の文化が途絶えないか心配している。

 市によると、市子ども会育成連合会(臼井和夫会長)が5月に各地区の子ども会育成会に中止を要請した。練り歩きには道路使用許可を松本警察署に申請するが、同署によると、27日現在、市内でぼんぼん・青山さまによる申請はない。
 城北地区の沢村町会では例年7月末ころの2日間、小学生たちが行事に取り組む。町会役員も交通整理などで協力するが、PTAと協議し中止を決めた。青山さまのみこしを納める大日堂は例年、初日に杉の葉でみこしを飾る準備でにぎわうが、今年はそのままだ。古田健司町会長(68)は、8月の生き物観察会や写生会も中止したといい「子供たちに夏の楽しい思い出が残らないのでは寂しい」と嘆く。
 田川地区まちづくり協議会は昨夏、ぼんぼん・青山さまと住民交流を兼ねた催しを田川公民館で初めて開き、12町会から小学生ら約150人が参加して好評だったが、今年は中止とした。前会長で顧問の堀内正雄・渚本村町会長(74)は「今年はより盛大にやろうと意気込んでいただけに残念。来年はしっかり再開したい」と話す。
 市内の伝統行事に詳しい木下守・市立博物館長は「今年の中止を機にこれから行事をやめてしまう町会が出ないか心配」と話している。
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【ぼんぼん・青山さま】 先祖の霊を迎える松本の盆行事。ぼんぼんは江戸時代に江戸や尾張(現愛知県の一部)で行われていた風習とされ、今は松本だけに残る。浴衣姿の女子が紙製の花を頭に飾り、ちょうちんを手に「ぼんぼんとても今日明日ばかり...」と歌いながら歩く。青山さまは明治期発祥の松本独自の風習で、男子が法被姿でみこしを担ぎ威勢の良い掛け声とともに地域を練り歩く。