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100歳記念で歌集刊行 塩尻の郷土史家・小松克己さん

100歳を記念した短歌集を手にする小松さん

 塩尻市片丘の郷土史家・小松克己さん(99)が8月8日の誕生日を前に、100歳記念の短歌集を自費出版した。戦中戦後の記憶や家族と重ねた時間、郷土の自然や歴史に寄せる思いなど、約450首を編んだ歌による「自分史」だ。昨年5月に96歳で亡くなった妻・千鶴代さんの作品も収録し、追悼や感謝の思いも込めている。

 これぞわが 初孫なるか 足首に 名札巻かれし 子を抱きあぐ
 千鶴代さんと投稿を続けた全国短歌フォーラムin塩尻の出品作品や『文芸しおじり』の掲載作品、初の歌集『穂波』からの転載など半世紀にわたる作品を収めた。
 近世の 善光寺道跡 二十余里 足を泣かせて 三たび歩きぬ
 古文書に向き合い、実地を重んじ続けた郷土史家らしい一首も。その一つ一つから折々のまなざしがよみがえる。
 現信州大学を経て中学校の社会科教諭になった。最初の勤務地、下伊那郡大鹿村で豊かな自然に触れた経験が後の歌作に影響したという。昭和31(1956)年には東京大学史料編纂所に学び、経験を生かしながら59年まで県史刊行に携わった。史実に謙虚である姿勢を貫き、同60~平成7(1995)年には市誌編纂の総括責任者も務めた。
 百寿を迎えるにあたり仕事一徹だった人生を振り返る中で、支えてくれた家族らへの感謝とともに歌集作りを希望したという。長男夫婦の協力を得ながら完成させ「あたたかき人の心と介護受け齢重ねて百歳となりぬ」と詠む。「たくさんの支えの中で今を迎えることに感謝でいっぱい。後に続く人たちも多くを歴史に学んでくれるように」と託していた。
 B6判123ページで200冊を刷った。希望者は小松さん(電話0263・52・6320)へ。

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