地域の話題

有明山神社の格天井絵 配置に法則

 安曇野市穂高有明の有明山神社神楽殿で、約120年前に完成した「格天井絵」の調査と記録が進められている。天井を彩る縦横9列81枚の絵は、当時の中央画壇や地元ゆかりの画家によって描かれたことが知られているが、調べる中で、絵の配置が画家の社会的立場を考慮して決められた可能性があると分かってきた。市教育委員会がまとめている書籍『安曇野風土記』シリーズ第4集の刊行に向けた取り組みだ。

 明治35(1902)年に完成した格天井絵は、豊科出身の文人で教育者の藤森桂谷(1835―1905)が多くの画家に頼んで描いてもらい、自らも絵筆を執った。1枚が約50㌢四方で、上質な杉の板に花鳥風月が描かれている。
 配置では真ん中に明治画壇の巨頭・橋本雅邦の「烏」があり、中心に近いほど中央で活躍した著名作家の絵が多い。明治期の松本の近代化をけん引し、衆議院議員も務めた窪田畔夫(号・松門)の絵も雅邦の近くにある。
 四隅からそれぞれ縦に三つ、横に三つの位置にある4点のうち、3点が藤森桂谷の作品だ。もう1点の作者は「皐所」とされているが、昨夏から調査している市豊科近代博物館副館長の竹内和俊さんによると、詳しい来歴や生没年が分かっておらず「位置から考えると、藤森作品の可能性もある」。
 格天井絵が完成した年には4歳だった画家の作品がある点や、神楽殿と同時期に造られた神門・裕明門の天井絵の作者・村田香谷の作品が1枚もないといった謎も多い。竹内さんは「どの絵も素晴らしい作品で、調べがいがある。記録が後年、研究をする人の資料になればうれしい」と力を込めている。
 『安曇野風土記』第4集は、市内の隠れた美術作品や、安曇野にゆかりのある荻原守衛や髙橋節郎、田淵行男といった芸術家に光を当てた内容になる予定で、来年度以降の刊行を目指す。近代美術館の学芸員など市内外の専門家十数人が、それぞれのテーマに沿って調査を進めている。

連載・特集

もっと見る