連載・特集

2020.7.2みすず野

 原種は日本に自生、『万葉集』にすでに歌われているという。アジサイである。漢字で「紫陽花」と書くが、これは唐の詩人・白居易が別の花に付けた名で、平安時代以降に誤って広まったようだ◆青紫、赤紫色の手まりのように群がって咲くさまは、梅雨の時季とよくマッチし、実に風情がある。しかも長い期間楽しめ、色を次第に変える。別名は七変化。日本各地には「アジサイ寺」が点在し、誰が選んだか知らないがアジサイ寺20選、30選、40選、名所50選などがある。当地のアジサイ寺と言えば、松本市寿小赤の弘長寺、内田の法船寺だろう◆先日、弘長寺を何年ぶりに訪ねてみた。咲き始めだったとはいえ、一株一株手入れが行き届き、それは美しかった。檀家衆の奉仕活動によって、昭和55(1980)年から庭園整備が行われ、現在は約90種1000株が植えられているという。若い女性の二人連れ、男性の年配者らが、スマホで写真を撮りながら、静かに順路を巡っていた◆「紫陽花や藪を小庭の別ざしき」の芭蕉句碑、池のハスの花も趣をもたらし、鎌倉、京都のアジサイ寺に決して引けを取らないと思った次第である。

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