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恐怖と悲しみ忘れない 松本サリンきょう26年

 松本市の住宅地に猛毒の神経ガス「サリン」がまかれ死者8人、重軽症者600人を出した松本サリン事件は、27日で発生から26年となる。平成30(2018)年の7月には一連の事件の首謀者でオウム真理教の教祖・麻原彰晃(本名・松本智津夫)元死刑囚ら13人の刑が執行されたが、平成の日本を震え上がらせた事件の爪あとは、令和の今も残っている。遺族の深い悲しみは消えることはなく、あの夜の恐ろしい光景を忘れられずに暮らす人たちは多い。

 「(麻原元死刑囚らが)死刑になったからといって、全てが報われ、許されるわけではない」。次男で会社員の豊さん=当時(23)=を亡くした小林房枝さん(78)=静岡県掛川市=は静かに語った。
 6月27日になると、時計の針を見るたびに当日のことが思い出されるという。「この時間は連絡を受けた時、この時間は松本へ向かっている時」。あの夜が克明に思い起こされる。「決して許すことのできない行為。悔しさでいっぱい」と声を振り絞った。28日に豊さんのお墓参りに行くつもりだ。
 事件発生時、多くの警察車両や救急車が集まった現場は、静けさを取り戻している。しかし地域住民の脳裏には、忘れられない光景が刻まれいる。地元で30年以上暮らす主婦(67)は「赤色灯が重なる異様な光景はあの日以来見たことがない」と語る。
 別の男性(77)は「またどこかで同じような事件が起きるのではないかと思うと心が苦しくなる。忘れたくても忘れられない」と話す。「周辺にアパートが建つようになって若い住人も多くなった。入れ替わりが激しい」。事件のことを覚えている住民は少なくなったと実感するが、記憶を風化させてはいけないとも感じている。

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