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安曇野の私立美術館 収入減で苦境

 安曇野市内の美術館が、新型コロナウイルス感染拡大防止のための1~2カ月に及ぶ長期休館や、再開後の来館者の大幅な減少で苦境に立たされている。とりわけダメージが大きいのが、経営基盤が公共施設に比べて弱い私立美術館で、ウェブサイトで支援の呼び掛け始めた館もある。消毒や換気の徹底といった感染予防策を取りながら開館しているものの、収入の激減は避けられず、多くの協力がないと館の存続も危ぶまれる状況だ。

 絵本美術館・森のおうち(穂高有明)は5月下旬、館のホームページ(HP)に「御支援のお願い」と題したメッセージを載せた。支援の金額に応じて年間パスポートとランチ、宿泊券のセットなどの返礼を用意している。県内外から支援が寄せられていて、酒井倫子館長は「支援を募るのは勇気が要ったが、存続の見通しが立たない状態だった。温かい支援が本当にありがたい」と話す。
 19日に県境をまたぐ移動の自粛が解除されたが、碌山美術館(穂高)の高野博館長は「解除後初の週末の来館者数は例年の3割程度。職員の人数も減らして対応しているが、館を維持するには非常に厳しい状況」と表情を曇らせる。館HPの見やすい位置に寄付を募る「サポートメンバーシップ」の詳細や、通信販売ページへのリンクを表示し、支援を呼び掛けている。
 安曇野山岳美術館(穂高有明)は7月に企画展を再開する。例年だと、登山客や観光客が多い夏場は一番の書き入れ時だが、ソーシャル・ディスタンス(社会的距離)を考慮すると館内に入れられる人数に限りがあり、頭を悩ませる。同館の岩佐峰子さんは「資金が潤沢にあるわけではないが、対策をしっかりして来館者を迎えたい」と話す。
 営業形態を見直す館もある。自宅のアトリエを美術館として公開しているビンサンチ美術館(穂高有明)は9月まで休館し、庭を散歩しながら作品が鑑賞できる屋外型の美術館としてリニューアルオープンを目指す。北山敏館長は「今の苦境をチャンスと捉え、新たな価値を創り出せる美術館として再開したい」と力を込めている。

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