連載・特集

2020.06.25みすず野

 俳聖芭蕉が説いたと伝わる「不易流行」。不易はいつまでも変わらないもの、流行は時代に応じて変化してゆくものの意で、コロナ禍を経て、この言葉がふとよみがえる。生活様式はここで大きく変容するのかもしれないが、不易はやはりある◆私たちの健康への意識は、ひと昔前に比べて格段に高まり、それはいいことにちがいない。しかし"健康病"というか"健康オタク"というか、若さや健康にこだわり過ぎ、これが利くと聞けば買ってすぐ飲み、あれが体に良いと紹介されれば店に押しかけ、情報に振り回されるきらいがある。コロナでさらにその傾向が強まった◆300年ほど前の江戸期の儒学者・貝原益軒が著した『養生訓』は、当時のベストセラーになった。人生50年の時代に84歳まで生きた、健康術の先達が唱えたのは、何も難しいことではなく、内欲や外邪は体調を崩す元だから、ほどほどにしたり、避けたりしなさい、であった◆外邪とは、夏の暑さや冬の寒さなど気候、季節の変化。『養生訓』の基本もまた不易に相違ない。即座にあれやこれや飛びつこうとしなければ、心は落ち着いて、そうお金もかからない。

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