政治・経済

松本の新市庁舎論議がコロナで進まず

 松本市が老朽化した市役所を現在地(丸の内)で建て替える計画の見直し作業が事実上ストップしている。臥雲義尚市長が4月に計画を見直す方針を表明したが、新型コロナウイルスの対応を優先していることで、今後の進め方について市議会と協議する機会がつくれていない。見直し方針により、建設用地を確保するために進めてきた周辺民有地の用地買収も目的が失われて宙に浮いている。

 市はこれまで、令和8年度内の使用開始を目標に概算建設費を約169億円とする新庁舎を現在地に建設する計画を進めてきた。一方、臥雲市長は3月の市長選挙で本庁の機能や規模をスリム化して分散型の市役所を建設する公約を掲げて初当選し、4月にこれまでのプロセスを中止する考えを表明した。
 「市長が変わって計画の見直しを表明したが、その後どういう動きになっているのか全く見えない」。今月19日の市議会市役所新庁舎建設特別委員会で議員の一人がそう指摘した。対応を優先してきた新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着きつつある中、市は「今後の協議を早期にお願いしたい」と説明に焦りをにじませた。
 市は20日に臥雲市長就任後初めてとなる庁内建設検討委員会を開き、計画見直しの方向性について意識の共有を図った。中野嘉勝政策部長は「庁内的には見直しに向けて動き始めた」と語る。市議会に見直しの方向性を示す場は7月ころになる見通しだという。
 市によると、公約に基づいて計画を見直す考えの中には「建設場所は現在地にこだわらない」という意味が含まれている。これまでの計画に基づいて用地買収を進めてきた周辺民有地について、中野部長は「現段階では新庁舎建設用地としては白紙の状態。必要とも不必要とも言えない状況」と説明する。
 周辺民有地の用地買収はこれまで市土地開発公社が先行して進めており、土地売買契約が済んでいる用地もある。市が買い取る予定だが、現時点で使い道は決まっていない。今後も用地交渉は進めるのか中止するのか。中野部長は「今までの交渉経過と地権者の意向を踏まえながら議会と相談して必要な対応をしていく」と慎重な姿勢を示している。

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