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球児激励無念さ糧に 松商OB宮坂真一さん

 今夏の第102回全国高校野球選手権大会(夏の甲子園)の中止が決まり、一夜明けた21日も球児の間にはショックが広がった。夏の甲子園の中止は戦局が悪化した昭和16(1941)年以来で、未曽有の事態となった。その79年前の中止を経験した一人で、松商学園高校野球部OBの宮坂真一さん(95)=松本市城東2=は「中止になって無念に思う今の気持ちを忘れないでほしい」と呼び掛ける。

 昭和16年、宮坂さんは松本商業(現松商)の4年生でマネジャーだった。同年7月、夏の大会を前に突如、中止の知らせを受けた。戦局の悪化と言われるが、宮坂さんは「なぜ中止になるのかという疑問が大きかった」と当時を振り返る。しかし、当然ながら個人の思いではどうすることもできず、決定が覆ることはなかった。
 今夏の中止決定には「残念だが仕方がない」と語る。特に3年生を思うと「切ない」と思いを寄せるが「やむを得ないという考えになるのは、自分が中止を経験しているから」。時代や状況は異なるが、経験しているからこそ客観的に見られるのだという。
 宮坂さんは日本学生野球協会評議員や県高校野球連盟参与を歴任するなど、戦後、学生野球の発展に努めた。昭和16年の中止を含め、さまざまな不本意を経験したことがその後の活力になった。「今思えばいい経験だった。野球を愛する気持ちがより強くなったから」と笑う。
 県高野連が検討している代替大会について、選手にとって特別なものになるような大会を望む。「ただ思い出づくりにするのではなく、真剣勝負ができる環境を整えてほしい」。上位チームには校名だけでなく、選手の名前も刻まれたものを贈って表彰するなど、記憶にも形にも残る過去に例のない取り組みで花道を飾ってほしいと願っている。