連載・特集

20205.31みすず野

 板垣退助の百円札を握り締め、近所の商店街へお使いに行った記憶をたどる。八百屋のおじさんが器用な手つきで新聞紙を円すい状に丸め、籠のキュウリやトマトを放り込む。自在に動く釣り銭入れのつり籠を目で追っていた◆卵も新聞紙に包んでくれた。10個を5個ずつ分けて並べるからクッションが効き―といっても買い物袋を乱雑に扱うと卵が割れ、そのたび親に叱られた。卵パックもレジ袋も無かった時代、古新聞の使い道は引っ越しや荷物を送る時、鍋敷き代わり以外にもたくさんあったのだ◆安曇野市の就労支援施設が新聞紙でエコ袋を作り、販売している。野菜のお裾分けや、生ごみを捨てるのに役立ててと記事にあった。見せてもらうと大中小のサイズがそろい、もう一つの「長」は大根やネギを入れるのに重宝しそう。三角コーナーにレジ袋が必要と言い張る家人に早速使わせてみよう◆7月からのプラスチック袋有料化を見据えて考案したという。環境保全に一役買うのだとしたら、新聞を作る立場として励まされる。有益で信頼される紙面作りに一層努めなれば。冒頭の紙幣は岩倉具視の五百円札だったかもしれない。

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