連載・特集

2020.5.14みすず野

 この30年ほどの間に、わが国の雇用状況は2度窮地に陥った。言わずと知れたバブルの崩壊とリーマン・ショック。12年前のリーマン・ショックで思い出すのは、仕事と住む場所をなくした人たちが集まった「年越し派遣村」だ◆新型コロナウイルスによる雇用環境の悪化は、それを上回ると報じられる。バブル崩壊後、人件費抑制のために、政策として非正規雇用が拡大され、企業は存続し、リーマン・ショックも乗り越えた。非正規雇用の人たち、広い意味では若者たちの犠牲のうえに成り立ってきた。彼ら、彼女らが貧困状態のまま、年齢を重ねるリスクが指摘されて何年もたつが、追い打ちをかけるコロナ・クライシス◆厚労省によると、2月下旬からの2カ月間で、解雇や雇用止めに遭った件数が激増した。非正規、フリーランスで働く人たちで、もともと所得が低く、貯蓄は少なく、頼る家族もいないという人が多い。孤立、不安に苛まれ、相当追い詰められていると思われる◆非正規は意図的につくり出され、いまに至ったのだから、政府はもっと素早く、手厚い支援をすべきだ。社会を根底から揺るがすコロナ禍なのである。