連載・特集

みすず野2020.4.1

 異例の新年度入りとなった。新型コロナウイルスの感染が世界中に広まって、生活や経済に深刻な影響を及ぼし、さらにイベント等の中止、縮小が続く。新入生や新入社員の歓迎も水を差され、花見の宴もまたその方向である◆感染が一日も早く収束し、終息宣言が出ることを願うばかり。新年度の声を聞くと、作家・城山三郎さんの本を手に取ってみたくなる。一回限りの山あり谷ありの人生を、前向きに生きた財界人らをモデルの物語が多く、随筆集『人生余熱あり』(光文社)もそんな一冊◆さまざまな分野で、おのおの成功を収めた人物が晩年、新天地に移住して全く別のことに挑戦してみたり、すべてをなげうって、自由あふれる生き方を選んだり、勇気ある事例がつづられている。「その旗や花は他人に見せるためではなく、(中略)自分に見えさえすればいい」◆人は完全燃焼を求めて生きたとき、大きな落日となって、音もなく地平の果てに沈む、と記される。こういう生き方が正しい、尊敬に値する、と言える時代ではなくなった。生き方は一人一人額に汗して見いだすほかなく、新型コロナなど吹き飛ばす勢いで進もう。

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