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3層天守の青翰堂が閉店 松本の古書店15日で

 ビルの合間に立つ3層天守の外観が目を引き、大名町通りの名物古書店として広く知られた松本市大手3の「青翰堂書店」が15日、創業70年余りの歴史を閉じる。戦後間もなく、松本城の見える場所に開店して以来、古書の買い取りや販売に加えて、古い写真資料や美術品などもそろう街中の"よろず屋"として、多くの人たちに親しまれてきた。城下町の移り変わりを見守ってきた名店がまた一つ消える。

 東京で古書店を営んでいた市内出身の故・花岡重雄さんが戦後帰郷して開業した「花岡書店」を前身とし、現在地に移転した際に今の店名になった。重雄さんと親交のあった画家が漢語から名付け、「青」は若さ、「翰」は鳥の羽を意味する。「時代の流れを読む目を持ち、新しい感覚や価値観を提案できるような店に―」との願いが込められている。
 天守の外観になったのは、松本城の昭和の大修理(昭和25~30年)がきっかけだった。工事に伴い長期間観光客らが天守を見られないことをふびんに思い、重雄さんが代わりに天守を再現した。その後も屋根瓦の補修などを重ねて当時の姿を残す。
 古書店ながら、昭和に流通した銅貨や紙幣、南樺太や千島列島が日本領として赤く塗りつぶされた戦前の地図、モダンな洋服だけでなく着物姿の人も目立つ白黒の古写真といった貴重な品々も取り扱う。
 重雄さんの息子で2代目の頼充さん(84)と妻が切り盛りしてきたが、年老いて店を畳む決意を固めた。山形市に住む長女(56)は「明るく楽しくをモットーに、80代まで元気に働いた両親を誇りに思う」とたたえる。
 閉店後は貸し店舗として提供する予定で取り壊さない。15日の閉店日まで毎日セールを行い、花岡夫妻と長女が交代で店に立つ。頼充さんは「長きにわたって多くの人に来店いただき、お礼しかない」と感謝している。15日までの営業は毎日午前10時~午後6時。