地域の話題

防災ヘリ墜落3年追悼 新型肺炎対策で式典縮小

慰霊碑前に設けられた献花台で手を合わせ、隊員の冥福を祈る参列者

 県消防防災ヘリコプター・アルプスが松本市郊外の鉢伏山に墜落し、県消防防災航空隊の隊員9人全員が死亡した事故は5日、発生から3年となった。航空隊の拠点である県消防防災航空センター近くの信州スカイパークで、県と県消防長会主催の追悼式が営まれたほか、隊員の遺志を後世に伝える慰霊碑の除幕式も行われた。消防関係者や市民らが各地で黙とうをささげるなどして、空から県民の安全を守ってきた殉職者たちの冥福を祈った。

 信州スカイパークの一角に慰霊碑が建立されたことから、追悼式も同所で行われ、初の屋外開催となった。新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、追悼式は出席者を限定し、時間を短縮して営まれた。
 時折小雪が舞う中、追悼式には殉職した隊員の遺族や、県や消防の関係者など71人が参列した。祭壇には殉職した隊員9人の遺影が並べられ、参列者が一人一人献花をして、困難な現場で多くの命を救ってきた隊員たちをしのんだ。
 追悼の辞で阿部守一知事は「3月5日という日をこれからも決して忘れない。崇高な志と勇敢な姿を胸に刻み、県民の生命、財産を守るために全力を尽くしていく」と誓った。松本広域連合長の菅谷昭・松本市長は「信州の空を舞台に人命救助の最前線で活躍されていたみなさんは、私たちの希望であり誇りです」と言葉を贈った。
 松本広域消防局から派遣されていた隊員の高嶋典俊さん=当時(37)=を亡くした父親の俊郎さん(70)は、式に先立って家族で墓参りをし、慰霊碑の建立や子供たちの元気な成長を報告したという。「みなさんの善意のおかげで慰霊碑ができてうれしい。航空隊が飛び立つ時に見えるので、気を引き締めて活動してもらえれば」と願っていた。

 追悼式に引き続いて、慰霊碑の前に設けられた献花台で一般献花が行われた。式の規模縮小で参列できなかった消防関係者や、航空隊のOB、住民らが次々と訪れ、花束を手向けて静かに手を合わせ、殉職した隊員の冥福を祈っていた。
 毎年欠かさず献花に訪れている県消防防災航空センターの元事務職員・柳沢昌久さん(62)=千曲市=は殉職した隊員の写真に触れながら「今年も来たよ」と心の中で語りかけたといい、「同じ釜の飯を食った仲間が逝ってもう3年、やっと3年。なんとも言えない」と声を振り絞った。
 松本広域消防局から派遣されていた2人の隊員の父親と縁があるという三澤深さん(70)=塩尻市広丘野村=は「9人の冥福をいつまでも祈っていきたい。慰霊碑ができたので折りに触れて来たい」と鉢伏山を背に立つ慰霊碑を見つめていた。
 式典前に献花に訪れた人たちは、航空隊の拠点である県消防防災航空センターの入り口に設けられている献花台に手を合わせた。県営松本空港では弔意を表す半旗が掲げられた。