連載・特集

2020.3.28みすず野

 今も営業している銭湯と、川魚店をたどれば松本市街の地下水脈が分かる―。何の講義だったか、かつてそう教わった。ともに水をたくさん使う商売だから、水道代を払っていたのでは採算が合わないのだと◆片端から上土町へ向かって下馬出し通りの角にある西村淡水魚店が85年の歴史に幕―と紙面で読んだ。最盛期の昭和40年代には木曽や大町からも注文が集まったという。お祭り料理の定番だったコイのうま煮が食卓に上らなくなって久しい。松本生まれの知人が「お城の西にも川魚店があった」と懐かしがる◆「閉店」を告げる記事が相次いだ。2、3月に限っても大名町の古書店・青翰堂や穂高の南中屋、塩尻の中部家具と丸屋家具...それぞれの事情に時代の流れが重なる。長年親しまれた地域の顔の店じまいは寂しい。パンのマルショウを訪ねるとレジ待ちの列ができ、名物エンリッチは既に売り切れていた◆きょう閉店します―と声を張り上げていたのに1年後に行くとその店は在り、しかもまた投げ売り閉店セール。都会でたびたび引っ掛かった。これが閉店商法ならいいのに。そう思っている常連客も多いことだろう。

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