連載・特集

2020.3.27みすず野

 時代が呼び寄せる政治家がいる。有権者が、その時代の風を察知して選んだと言えなくても、呼び寄せられた政治家は、時代と共に歩む。松本市長を4期16年務めた菅谷昭さんがそうであったろう◆熱い心を内に秘めた人だと思う。でなければ、信大医学部助教授の職をなげうって、チェルノブイリ原発事故被災地に単身乗り込み、以後5年半、退職金を使い果たすまで小児医療に尽くす、などということはできない。何より大切なのは、いまを生きる一人一人の命であると身をもって知った、と著書に記す◆帰国後、県衛生部長を経て松本市長に就き、「お返しの人生」が始まる。箱もので実績を挙げた前市長と比較され、批判を浴びもしたが、進む少子高齢社会にあって、健康寿命延伸都市づくりを全国に先駆けて打ち上げ、関連事業に力を注いだ。いま健康寿命延伸と聞いて違和感を抱く人はいない。昨年11月、市議会で勇退表明した際の、晴れやかな顔がすべてを語っていた◆自分が何をしたか、いかに生きたかが問われると、日々肝に銘じて市長の重責を果たしてきた。きょうその肩の荷を下ろす。ライフワークが待っている。

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